大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京地方裁判所 昭和46年(ワ)10452号 判決 1973年5月16日

原告

山下善哉

ほか一名

被告

健次郎こと田山健次

ほか一名

主文

被告らは各自、原告両名それぞれに対し九六万七〇八五円ずつ及びこれらに対する昭和四六年一二月三日以降支払済まで年五分の割合による金員を支払え。

原告らのその余の請求を各棄却する。

訴訟費用は、その三分の二を原告らの、その余を被告らの各負担とする。

この判決の第一、第三項は仮執行することができる。

事実

第一当事者の求める裁判

原告ら

「被告らは各自、原告両名それぞれに対し三二五万四五四一円及びこれらに対する昭和四六年一二月三日以降支払済まで年五分の割合による金員を支払え。訴訟費用は被告らの負担とする」との判決並びに仮執行宣言

被告

「原告らの請求をいずれも棄却する。訴訟費用は原告らの負担とする」との判決

第二原告らの主張

(請求の原因)

一  事故の発生

原告らの長女山下弓子は次の交通事故によつて死亡した。

(一) 発生時 昭和四六年四月二八日午後〇時二〇分頃

(二) 発生地 茨城県東茨城郡大洗町大貫町四番地先道路上

(三) 加害車両 茨四も二六三二(トヨタピツクアツプ)

被告藤枝運転

(四) 被害者 山下弓子(女)昭和四一年一〇月六日生(当時四才七ケ月)

(五) 被害 事故当日の午後一一時一〇分頭部外傷、頭蓋骨骨折、脳挫傷、左側硬膜下血腫、右側頭部硬膜下水腫、右鎖骨骨折、右第二・三・四・五肋骨骨折、右血気胸骨盤骨折、右大髄骨骨折によつて水戸市横竹隈六一八番地青柳病院にて死亡した。

(六) 被害者の身分関係

原告らは被害者の父母であり、法定相続分により被害者の権利を承継した。

(七) 事故の内容

1 本件事故現場附近の道路は片側は海岸に接した幅員六米の歩車道の区別のない舗装道路で、制限速度は毎時六〇キロメートルであり、附近に横断歩道はない。

2 被害者は海岸から現場道路を手を挙げて横断し既にセンターラインをこえていたにも拘らず、被告藤枝は前方注視義務を怠り、漫然と時速七〇キロメートル以上の高速でセンターラインをオーバーして現場を通過したため、被害者を同車右側ライト部分に激突させ、約二〇メートルはねとばした。

同被告は脇見運転のため、衝突時まで被害者に気付かず、衝突まで全く徐行又は急停止の処置をとつていなかつた。

二  責任原因

(一) 被告田山は、加害車両を所有し、業務用に使用し自己のため運行の用に供していたものであるから、自賠法三条により、原告らに生じた損害を賠償する責任がある。

(二) 被告藤枝は、前方不注意、見通しの悪い交差点における徐行義務違反、速度違反、センターラインオーバーの各過失があり、これによつて本件事故を発生させたのであるから、民法七〇九条により、原告らに生じた損害を賠償する責任がある。

三  損害

(一) 積極損害 原告らそれぞれ二分の一ずつ出捐、負担したもの、

合計五二万四五六二円(原告らそれぞれ二六万二二八一円)

1 医療関係費

航空運賃(千歳――羽田間往復二人、兄姉が輸血のため)

五万一六〇〇円

2 葬祭関係費 四五万二二二二円

(1) 葬儀一式(藤本葬儀社) 四万四八二五円

(2) 生花(同) 二〇〇〇円

(3) じゆず二個(同) 二一〇〇円

(4) 忌中葉書一〇〇枚(昭和名刺店) 一〇五〇円

(5) 仏壇(白雲堂仏具店) 六万五〇〇〇円

(6) 位牌(同) 二三〇〇円

(7) 生花、楠玉(勝見造花店) 一万七〇〇〇円

(8) 供物(S&Sそうま) 七六三〇円

(9) 同(おさない果実店) 五三八〇円

(10) 線香(八百芳商店) 一九五〇円

(11) みそ、しよう油(大中中沢商店) 六三五〇円

(12) 魚肉(米沢商店) 四七五〇円

(13) 野菜(三北商事株式会社) 八八〇〇円

(14) 酒(虎屋商店) 一万九五九五円

(15) 引物、供物(日糧商事株式会社) 一万三一〇〇円

(16) 法礼(大来寺) 一万五五〇〇円

(17) 法要・品代(大丸スーパー) 六〇〇〇円

(18) 同(ホクレン商事) 五〇一六円

(19) 同・果物(佐藤ストアー) 四六〇〇円

(20) 同・酒(鍋島商店) 三六二〇円

(21) 理髪 一〇〇〇円

(22) 電話・五通話 二一四〇円

(23) タクシー 五七六〇円

(24) 菓子 八〇〇円

(25) 御布施 三万七〇〇〇円

(26) 電車・モノレール(赤羽――羽田間) 三三八〇円

(27) 航空運賃(羽田――千歳間二人、三往復) 一五万四八〇〇円

(28) 切手 四七六円

(29) バス(千歳――自宅)五回 二四〇〇円

(30) タクシー(取手――水戸) 六一〇〇円

(31) 電車(羽田――取手)二人 七〇〇円

(32) 電話 九五〇円

(33) お茶 一五〇円

3 賠償請求関係費 二万〇七四〇円

(1) 戸籍謄本(世田谷区役所) 五〇円

(2) 電車(赤羽――水戸――大洗)二人、五往復 一万五九四〇円

(3) 印鑑証明書(二人分) 八〇円

(4) 電車(赤羽――世田谷区役所)二人二往復

(赤羽――池袋(保険会社))二人四往復 一五二〇円

(5) 死亡診断書 二五〇〇円

(6) 診療報酬明細書 五〇〇円

(7) 事故証明 一〇〇円

(8) 戸籍謄本 五〇円

(二) 逸失利益 四一三万五七三五円

原告らそれぞれ二〇六万七八六七円ずつ相続

事故時 四才七ケ月

稼動年数 一八才~六三才

収入 年間四八万五九〇〇円

女子労働者(パートタイムを含む)一八才の昭和四六年における毎月の給与額三万五七〇〇円、年間賞与その他五万七五〇〇円(賃金センサスによる)を基礎として

生活費控除 収入の五〇%

純利益 年間二四万二八五〇円

242,850×17.03=4135,735(複式ホフマン式計算法)

相続 原告ら1/2ずつ

(三) 慰藉料 原告らそれぞれ二八〇万円ずつ

その算定事情中特記すべき事項は次のとおり

1 被害者は原告ら夫婦の一人児であり、原告らは将来子供を出産する能力がないため、子のない淋しい家庭生活を送らねばならないこととなり、原告らにとつて精神的打撃は普通の親に比して一段と大きく、現在原告らは生きる希望を失なつており仕事も手につかない状態である。

2 被害者は容姿も非常に可愛い児であるとともに気立てのよい利発な児であつたため将来はあらゆる面で中級以上の社会人に生長することは間違いなかつた。

3 原告らは被害者に養子を迎え原告らの老後を託す積りであつたが、その期待は全く失われた。

4 被告田山は肩書地において海産物加工問屋を盛大にやつているものであり、被告藤枝は被告田山の親戚関係にあるところより雇用されているものである。

然るに被告らは被害者の葬儀、示談交渉に対し全く誠意なく原告らは被告らの誠意なき態度によつて憤激し精神的打撃が更に増大している。

(四) 弁護士費用 一〇〇万円(原告らが五〇万円ずつ負担)

手数料 三〇万円

謝金 七〇万円

四  結論

原告らは以上の損害のうち、原告らそれぞれ三二五万四五四一円ずつ及びこれらに対する本訴状送達の翌日である昭和四六年一二月三日以降支払済にいたるまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

(被告らの抗弁に対して)

五 被告ら主張六の事実(前記一(七)1の事実を除く)は争う。

六 同七の事実は認める。

第三被告らの主張

(答弁)

一  請求原因一の(一)~(六)及び(七)1の事実、同2のうち被害者を約二〇メートルはねとばした事実は認めるが、同2のその余の事実は否認する。

二  請求原因二の事実中、被告田山が、原告ら主張の車両を所有し、業務用に使用し自己のため運行の用に供していたことは認めるが、その余は否認する。

三  請求原因三の事実は争う。

(反論と抗弁)

四 逸失利益について

(収益)

我国の現状では女子は家庭に入り主婦として生涯を送るのが一般であり、亡弓子が一八才より六三才まで稼働するとして現に労働する女子の賃金を前提として逸失利益を算出するのは誤りである。

(養育料)

弓子は、成人までは当然保護者である原告らの養育をうける者であり、その間の養育に要する費用は、弓子の逸失利益から控除すべきである。

五 弁護料について

被告らは、事故後、相当な時期において、示談をなすべく待機していたところ、原告善哉より、四九日も経ぬうちに、示談交渉の意思表示をうけ、遺族の情をしのび示談交渉をひかえていた被告らは、そのあまりの早さに奇異な感をいだかせられたが、被告らとしては、示談交渉の開始を待ちのぞんでいた矢先、翌日、直ちに原告ら方に被告ら両名に被告藤枝の父親、被告ら代理人弁護士野村英治同行の上赴き、誠意をもつて、賠償をなすべき旨を表明し、爾後同弁護士において数回にわたつて、専ら、原告方に赴き、誠意をもつて示談交渉に当り、賠償をなすべき相当額(逸失利益、慰藉料、葬儀料等、判例の基準に従つてこれが義務ある相当額として)の支払をなすことを、具体的に判例上の基準額を明示して、表明したのに対し、原告らは、最低一〇〇〇万円を強硬に主張し「原告ら要求通りの金額の支払をなすことが『誠意』である」と固持して譲らず、或るときは、裁判上の相当額を了承しながら、そのほかに数百万円の上乗せを要求し、いずれにしても、一〇〇〇万円の要求を強硬に主張し、裁判上の基準に対し一顧も与えぬ態度をとりつづけたため、同代理人の努力も、継続が不可能となるに至り、示談成立に至らなかつたのが真実の姿であり、示談交渉を阻害したのは、原告らなのである。

このようにして被告らに賠償金支払の態度において、不法があつたということは全くありえず、弁護士費用まで被告らが負担すべきいわれはない。

六 事故状況と過失相殺について。

(一)  本件道路は、海岸通りの名称のとおり、町の中心部からはずれた海岸べりの人家の少ない、かねて人通りも少ない従つて、歩車道の区別も現場には横断歩道もなく制限速度も六〇粁の道路であり、従つて歩行者も自動車の通行に、とくに注意をしなければならない道路である。

(二)  原告らと被害者は本件現場わきの海岸をいわゆる観光地である大洗海岸と誤信し、道路と海岸との間の、人家の間の、わずかの空地に自動車を駐め、休息をとつたような現場附近の事情、土地の事情(本件道路の車両通行状況も含め)にうとかつたものである。

(三)  かような場所において被害者の父(原告善哉)は、独り、煙草を買いに出かける一方、被害者は母(原告好子)の手元をはなれて、勝手に独り、父の後を追つて、本件道路に飛び出し、原告好子は、これを許容してしまつたものである。

たとえ、被害者が、成長が早く、交通安全のしつけを身につけていたにしても、四才の幼児のこと、社会性、十分な判断力を備えていたということはできず、父でさえ、走行してくる通行京を避けて、横断したというのであるから、四才の幼児にしては尚更である。

(四)  仮に被告らに責任があるとしても、原告らは、未だ十分に社会的行為を行ない得ない幼児弓子(被害者)の保護監督を怠つたものであるから、相当の過失相殺がされるべきである。

七 自賠責保険から原告らに対し四六二万円が支払われたので、原告らの損害は、同額填補された。

第四証拠関係〔略〕

理由

一  事故と責任

請求原因一(一)ないし(五)、(七)1の事実は当事者間に争がない。そこで事故発生の状況について考えると、右争のない事実、〔証拠略〕によれば、次の事実を認めることができる。

(一)  事故発生地点は磯浜方面から夏海方面に向うほぼ直線の道路であつて、中央線の表示がなく、向つて(磯浜方面から夏海方面に向つて。以下同じ)左側は海岸砂地になつていて、前方及び道路向つて左手の見とおしは悪くない。事故地点手前(前記方向にしたがつていう。)に丁字路があり、同所から向つて右側に幅員が広い道路が通じている。事故地点は右交差点端から約一三メートルの距離にある。

(二)  被告藤枝は加害車両を運転し、磯浜方面から右丁字路を経て夏海方面に向け、時速五〇~七〇キロメートルで進行したものであるが、右交差点中央附近に来たとき、向つて右方道路からの進入車両二台を認め、これに気を奪われ、前方を注視することなく、右速度のまま、道路ほぼ中央附近を進行し、事故地点手前約三メートルに至つて漸く視線を前方に戻した際、直前(自車のまつすぐ前の方向)に歩行者(被害者)をはじめて発見し、急制動避譲の措置をとるいとまもなく、右道路中央部附近において同車右前部と被害者とが衝突し、被害者は一〇メートル余はねとばされ、同車は二〇余米進行して停止した。

(三)  被害者は、原告らとともに同所に来たものであるが、まず父(原告善哉)が同道路を横断した後、独り、右手を上げて急ぎ足で同道路を横断中に事故にあつた。

〔証拠略〕によれば、被告藤枝は、被害者が飛び出したと供述するのであるが、「飛び出した」ということ自体多義的で、何かが眼前ににわかにあらわれた場合をも含むものであるばかりでなく、被告藤枝が被害者を見つけたのが衝突直前で自車のまつすぐ前方に来ていたことはその本人尋問において述べるところであるから、被告藤枝の右供述をとつて、被害者が加害車両の直前に駈け出す等の所為に出たことを認めることはできない。

以上の事実によれば、右車両の所有者であり、業務用に使用し自己のため運行の用に供するものであることを争わない被告田山は自賠法三条により、また、被告藤枝は同車の運転者として、前方不注視等の過失をおかし、これが事故の原因になつたものといわなければならないから、民法七〇九条により、それぞれ、本件事故により原告らが蒙つた損害を賠償すべき責任がある。被告らの過失相殺の主張については、被告藤枝の前方不注視の過失がその程度、態様において重大というべきところ、これに比すれば、被害者は、その横断方法につき、さほどの落度があつたものというに足る証拠はないので、監護者である原告らの所為について論ずるまでなく、右主張は採用しない。

二  損害額

(一)  積極損害

原告らは本件事故によりその子弓子が死亡したため、次の金員を出捐し又は負担を余儀なくされたものということができる。

1  医療関係費 五万一六〇〇円

〔証拠略〕によれば、原告らの兄、姉が輸血のため北海道から東京に来たため、その往復旅費として右金員を要したことを認めることができ、被害者の傷害の態様(争のない請求原因一(五)の事実)からみて、この程度の出費は輸血の要否等につき論ずるまでもなく相当因果関係の範囲内にあるものというべきである。

2  葬祭関係費 三〇万円

〔証拠略〕によれば、原告らは、被害者の葬儀、法要、仏壇購入及びこれに関連する費用として請求原因三(一)2の(1)ないし(20)など三〇万円を下らない支出をしたことが認められるところ、被害者の年令等に鑑み、うち三〇万円を事故と相当因果関係のある損害ということができる。

3  賠償関係費については後に弁護士費用と併せ論ずることとする。

(二)  逸失利益

被害者弓子が昭和四一年一〇月六日生れの女子であることは当事者間に争がなく、〔証拠略〕によれば同女は通常人に劣らない健康を保持していたとみることができるので、本件事故にあわなければ、原告ら主張の期間、その主張額を下らない年収を得ることができ、その期間同人の生活費として出捐するものを控除し、年間二四万二八五〇円を下らない純収益を挙げ得たものということができる。右金員から本判決言渡までは単利、以後複利で年五分の中間利息を控除して昭和四六年一二月二日現在の価格を算出すると、二三六万四七九〇円となる。

被告らは、女子が通常家庭に入り主婦となる我国の現状に基いて原告ら主張の収益算出の方法を不当とするのであるが、被害者が成人に達する頃に被告らの右主張のとおりの状態にあるか疑わしいうえ、女子が婚姻するか否か、婚姻して専ら主婦となるか職業を継続するかは当人の主体的選択によるものであり、しかも、主婦としての労務もこれを評価すれば原告ら主張の程度の額を下らないものといわなければならない(ことに、主婦の場合は世帯の一員となるから生活費の額は単身就労者のそれに比し著しく軽減されるし、また、単身給与所得者に対する諸税額に比し主婦婚世帯が税制上種々の恩典を受けていること及び将来ともこの恩典は税制面からみた合理的根拠の存否とかかわりなく存続拡大される傾向にあるというべきであるから、結局、女子の将来の収益を原告ら主張のとおりとみることはなお控え目の算定ということができる。)

一方、同人が稼働できるようになるまでの期間その生育に必要な出捐分は、右逸失利益から控除すべきところ、前述の逸失利益算定の基礎とした事実関係に鑑み、この場合同人が事故後義務教育を終える時期まで月五〇〇〇円の出費を考慮すべきものとするのが相当であり、前段同様この昭和四六年一二月二日現在の価格を算出すると五二万二二二〇円となる。そこで、原告らにおいて相続すべき逸失利益は右の差額一八四万二五七〇円であり、原告両名それぞれの相続分(相続関係が請求原因一(六)のとおりであることは当事者間に争がない。)は、九二万一二八五円ずつである。

(三)  慰藉料

原告らが、被害者弓子の父母であることは当事者間に争がないところ、〔証拠略〕によれば、被害者弓子が原告ら夫婦の家庭で、その愛情の下に、順調な成長を遂げてきたことが認められ、同女を失つた原告両名の精神的損害を慰藉するには、それぞれ二一〇万円をもつてするのを相当と認める。

なお、被告らが賠償交渉に際し、子を失つた原告両名の心情を察して適切な態度をとつてきたか否かについては、種々の考察が可能であるが、右金額に変動を生ずるほどの事情を認めることはできない。

(四)  請求関係費用

〔証拠略〕によれば、原告らは被告らから本件損害賠償金の任意支払を受けることができず、その交渉のため請求原因三(一)3のような経費を要したほか、弁護士末政憲一に訴訟の提起追行を委任し、その主張の金員を支払い、またはその支払を約していることを認めることができる。前掲証拠及び弁論の全趣旨によれば、原告らの交渉過程における請求が過大であつたきらいがあることが認められるにもせよ、被告らにおいて相当金額の提供をするに至らなかつたことからすれば、右経費のうち相当額は本件事故と相当因果関係のある損害に含まれるものというほかはなく、本件訴訟の経緯、認容額を考慮し、右金員のうち、一六万円(原告それぞれ八万円)を被告らにおいて負担すべきものとみるのが相当である。

三  結論

以上のとおりであるから、原告両名は被告両名各自に対し、以上の損害合計、原告それぞれ三二七万七〇八五円から既に自賠責保険から填補されたことに争がない原告両名それぞれ二三一万円を控除した九六万七〇八五円及びこれらに対する訴状送達の日の翌日であることが記録上明らかな昭和四六年一二月三日以降支払済に至るまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求めることができる。そこで原告らの本訴請求は右限度において認容し、その余は失当として棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条、九二条、九三条、仮執行宣言につき同法一九六条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 高山晨)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例